確率思考の戦略論:数学を活用したマーケティング手法

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こんにちは。ぱぶろです。

書籍『確率思考の戦略論』の読書レビューです。

USJを再建したことで知られる、世界屈指のマーケター森岡毅さんと、アナリスト今西聖貴さんが「数学マーケティング」と称される秘伝の手法を学べます。

目次

数学マーケティングとは

ビジネス戦略における成否は「確率」で決まっており、そして「確率」はある程度が操作できるものとしています。

戦略における確率を事前に把握することで「操作できる領域」と「操作できない領域」を見きわめ、限られた経営資源を「操作できる領域」に集中させ、成功確率を劇的に高めることを目指します。

「数学マーケティング」とは、その「確率」の最大化を図る手法です。

市場構造の本質を理解する

まず始めに、我々は自身の事業における市場構造について最低限の理解をしなければいけません。

世の中は、一つの企業では操作しずらい、または出来ない領域が多くあり、そういった領域に限られた経営資源を投じていては成功への妨げとなってしまいます。

市場構造を理解することによって、私達は成功確率の高い企業戦略を選ぶことができるのです。

書籍『確率思考の戦略論』

では、そもそも市場構造についてですが、簡単に言えば「業界の仕組み」のことです。

そして、市場構造、業界の仕組みを形づくっている要素は何か?本書では以下のように定義しています。

それは消費者のPrefance(プレファンス)です。プレファンスとは、消費者のブランドに対する相対的な好意度(簡単に言えば「好み」)のことで、主にブランド・エクイティー、価格、製品パフォーマンスの3つによって決定されています。

書籍『確率思考の戦略論』

戦略の本質を理解する

「戦略」は弱者が強者に勝つための手法であり、圧倒的な強者にとって「戦略」は必要ないとされ、物量で劣る弱者が市場の中で強行的に施策を進めるのは得策ではありません。

これは、本書でも水の流れに例えて同様のことを述べています。

そのエネルギーに見合う経営資源を持たないのであれば、水を逆に流そうとするその戦略は、戦う前から負けることが確定しています。

書籍『確率思考の戦略論』

そして「戦略」の本質については、以下の3要素を定義しています。

戦略、つまり経営資源の配分先は、結局のところPreference(好意度)、Awareness(認知)、Distribution(配荷)の3つに集約されるのです。

書籍『確率思考の戦略論』

これまで、マーケティングに関する書籍を私も相当数読んできましたが、この3要素は始めて知りました。

上記の3つの伸び代を探し、必要な施策を実践していくことが、本書で述べる本質的な戦略となります。

戦略を探す

本書では「戦略をつくる」のではなく「戦略を探す」と定義しており、その理由が「戦略は必ずそこにあるもの」と考えているからです。

私も普段から「戦略づくり」という認識で、新しく生み出すものとしていましたが、「つくる」よりも「探す」は適した言葉だと思います。

そして「戦略探し」は、売上を構成する以下の7要素を基にゴールから逆算すべきと述べています。

  1. 認知率
  2. 配荷率
  3. 過去購入率(延べトライアル率)
  4. エポークト・セットに入る率
  5. 1年間に購入する率
  6. 年間購入回数
  7. 平均購入金額
書籍『確率思考の戦略論』

そして、この7要素の中にも「操作できるもの」と「操作できないもの」があり、「操作できるもの」にフォーカスし、戦略を探すべきとしています。

まとめ

苦境に陥っていたUSJの再建を果たした、森岡毅氏の書籍「マーケティングとは「組織革命」である」を読んだことで、自身の頭の中でクリアになりました。

本書はそれらを含めて、更に密度の濃い内容となっており、もっと早くに読んでおきたかった1冊です。

確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力(著者:森岡 毅|発行:2016年6月2日|ページ数:321ページ)

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